下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは

下肢静脈瘤とは「足の血管がコブになる病気」
自然に治ることはなく、足のだるさやむくみ、皮膚炎、潰瘍を引き起こし生活の質を低下させる
日本人の10人に1人、出産経験のある女性の２人に1人が発症

下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり、命にかかわったりといったことはありません。しかし、自然に治る事はなく、足のだるさやむくみなどの症状が慢性的に起こるため、生活の質（QOL）を低下させます。放置しておくと徐々に症状は悪化していき、皮膚炎や色素沈着、難治性潰瘍を形成する場合もあります。その場合には早めにご相談ください。
また、繰り返しうっ滞性皮膚炎を起こしている方の原因として隠れていることもあります。

40歳以上の日本人の10人に1人、特に出産経験のある成人女性の2人に1人が発症するとされており、実は身近な病気なのです。

このような症状はありませんか？

• 足の血管が浮き出ている
• ふくらはぎがだるい、重苦しい、痛い
• 足がむくむ
• 寝ていると足がつる
• 足がほてる、熱く感じる
• 足が痒い
• 足の皮膚が黒ずんできた

下肢静脈瘤の原因

静脈の弁が壊れることにより発症
足から血液が戻りにくくなり、下肢に血が溜まることで圧が上昇し、症状が出現

血管には動脈と静脈の２種類があり、下肢静脈瘤は静脈の病気です。
足の静脈の役割は、足で使い終わった汚れた血液を心臓に戻すことです。
重力に逆らって足から心臓に血液を送らないといけないため、静脈の中には“ハ”の字型の逆流防止弁が多数あり、立っている時に血液が逆流するのを防いでいます。
下肢静脈瘤は、この静脈の弁が壊れることによっておこる静脈独特の病気です。
弁が壊れてきちんと閉まらないために下肢に血液がたまり、圧力が上昇する事で静脈がこぶ（瘤）のようにふくれてしまいます。
また、足の循環が悪くなり、むくみやだるさなどの症状が起こります。
弁が壊れる原因には遺伝や妊娠・出産、長時間の立ち仕事などがあります。

下肢静脈瘤になりやすい人

特に高齢女性に多く見られる病気ですが、なりやすい背景は分かってきています。
長時間の立ち仕事や座り続けている方、妊娠・出産経験のある方、高齢者、遺伝、肥満などです。

下肢静脈瘤の治療

当院では保険適応となっているすべての治療法を行うことができます。
手術以外の方法も含め、患者様の病態、症状、希望に合わせ治療法を一緒に考えていきましょう。
また、血管が細く硬化療法が難しいクモの巣状静脈瘤に対しては自費診療になりますが、痛みの少ない光治療（IPL）も取り入れています。

治療一覧になります。詳しくは各手術方法のページをお読みください。

◆ストリッピング手術(静脈抜去術)、高位結紮術

下肢静脈瘤の根治的な治療法として行われていた手術方法です。現在では侵襲が大きいため、カテーテル治療の方が多く行われています。再発症例などで検討します。
静脈に手術用ワイヤーを挿入し、弁不全を起こしている静脈を引き抜く方法です。

◆血管内焼灼術

静脈瘤に対していちばん多く行われている手術方法です。
静脈瘤の血管にカテーテルを挿入し、中から静脈を焼いてふさぐ方法です。

◆血管内塞栓術（グルー治療）

最近保険適応となり、血管内治療とともに第一選択で検討する手術方法です。
静脈瘤の血管にカテーテルを挿入し、静脈の中に医療用接着剤（グルー）を注入しふさぐ方法です。

◆弾性ストッキング(医療用)

医療用のストッキングで足を締め付けて、ふくらはぎの筋ポンプ作用を助けて血液が溜まるのを防ぐ方法です。
当院では、患者様の足を正確に計測し、患者様の生活スタイルにも合った弾性ストッキングを処方します。その際には、専門のスタッフが履き方をわかりやすく説明をします。