
血管内塞栓術:グルー治療
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血管内塞栓術:グルー治療
血管内閉塞術とは、医療用瞬間接着剤(グルー)を用いて血管を閉塞し、血流を止めることで治療を行う方法です。 「グルー治療」とも呼ばれ、主に下肢静脈瘤の治療に用いられます。血管内焼灼術(レーザーや高周波による焼灼治療)とは異なり、熱が出ないため熱による合併症や麻酔の疼痛、術後の制限が少ないとされています。
痛みや不快感を軽減したい方
グルー治療は、麻酔部位が少ないため、痛みに敏感な方や痛みを軽減したい方に適しています。
早期の社会復帰を希望する方
術後、運動制限などないため手術当日からスポーツが可能とされています。日常生活や仕事への復帰が早いのが特徴です。仕事や生活への影響を極力抑えたい方には理想的です。
術後の弾性ストッキングを避けたい方
グルー治療は、基本的に術後の弾性ストッキングの着用は不要です。着用困難な方や夏場などで着用したくないなど生活の質を重視する方に向いています。
レーザーや高周波による熱の合併症を避けたい方
グルー治療は、熱によるやけどや神経障害の合併症があります。これらのリスクを避けたい方に向いています。
静脈の蛇行が強く血管内焼灼術では再開通してしまった方
蛇行が強い場合には焼灼術のカテーテルが十分挿入できず治療不十分で再開通してしまうことがあります。グルー治療では注入するカテーテルさえ入れば治療できるため蛇行血管に適しています。
血管径が太いなどで再発した静脈瘤を治療したい方
過去に静脈瘤の治療を受けたが再発した方にも適しています。血管径が太い場合、焼灼術では熱量を増やすだけでは閉塞できないことがあります。グルー治療ではやけどのリスクがなく血管径に合わせて投与量が調整できるため効果的に対応できることがあります。
グルー(接着剤)にアレルギーがある方
医療用接着剤に対してアレルギー反応がある方は治療できません。しかし、接着剤に対するアレルギーが分かっている方は稀です。治療前にアレルギー歴を確認し、アレルギー体質の方にはおすすめしていません。
年齢の若い方
ベースとなる製剤は1950年代から医療に用いられており安全性は高いとされています。ただ、治療後30〜50年体内に残る可能性もあり良性疾患に対してリスクを負う必要はないと考えています。また、塞栓力が強いため分枝にも血栓ができます。若い方にはその部位に起こる血栓性静脈炎による疼痛が強い印象です。
採血などで血管が細くなりやすい方、緊張しやすい方
麻酔時の痛みや血管内へのカテーテルの接触で血管が収縮(攣縮)することがあります。カテーテルが太いため、血管がカテーテルを掴みやすく、動かすたびに痛みが出ることがあります。
診察と術前準備
手術の説明を行い、同意書に記入していただきます。リカバリー室もしくは更衣室で術衣に着替えたのち、手術室に入ります。超音波検査で静脈瘤の状態や走行を確認し、治療の範囲を最終決定します。
麻酔の実施
痛みを和らげるために、治療部分の皮膚に局所麻酔薬を注射します。希望により、リラックスした状態にするための静脈麻酔(鎮静)も併用することがあります。
カテーテルの挿入
針を静脈に刺し、カテーテルを治療する静脈の中に挿入します。
グルー(医療用瞬間接着剤)の注入
カテーテルの位置調整後、グルーを静脈内に注入し、圧迫します。静脈内を徐々に引きながら、血管を塞いでいきます。
施術後の処置
カテーテルを抜去し、圧迫止血します。
術後の観察と指導
30分〜1時間程度リカバリー室で休息した後に術後の注意点について説明をいたします。お会計後帰宅となります。
術直後の超音波で問題がなければ、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後の定期診察を行います。定期診察では超音波検査を行い、焼灼した静脈の閉塞状態や合併症の有無を評価します。
デスクワークや重労働、スポーツなど手術当日から可能とされていますが、当院では運動を伴う事は翌日〜1週間程度かけ徐々に再開していただいています。
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