シャント瘤切除
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シャント瘤切除
透析に使っている腕のシャントが、次第にふくらんできて「ボコッ」と盛り上がってきたように感じたことはありませんか。この状態を「シャント瘤」と呼びます。
シャント瘤は、最初は見た目の変化だけのこともありますが、放っておくと破裂して大出血する危険性や、透析ができなくなるリスクにつながることがあります。そのようなリスクを減らすために行うのが「シャント瘤切除」という手術です。
このページではシャント瘤切除についてわかりやすくご説明します。
透析シャントは、動脈と静脈をつなぐことで、透析に十分な血流を確保するための「特別な血管」です。長く透析を続けていると、そのシャントの一部がふくらんで、こぶのようになることがあります。これが「シャント瘤」です。
触ると柔らかく、ドクドクと脈を打っているように感じることが多いです。
シャントの上の皮膚が極端に薄くなり、今にも破れそうに見える場合は注意が必要です。そのままにしておくと、日常生活のちょっとした刺激で破れて大出血することがあります。
シャント瘤が大きくなると、周囲の神経や血管を圧迫することがあります。腕や手のしびれ、指先の冷え、手を使ったときの痛みが出る場合、シャント瘤が影響している可能性があります。
腕が太く見えてしまう、服が着づらい、周りの目が気になるといったお悩みから手術を希望される方もいらっしゃいます。見た目の問題も、患者様の生活の質(QOL)を考えるうえで大切なポイントです。
もっとも怖いのは、シャント瘤が破裂してしまうことです。透析シャントは太い血管とつながっているため、一度破れると短時間で大量出血につながることがあります。
シャントの一部がダメージを受けすぎると、透析に必要な針を安全に刺せなくなります。その結果、別の場所に新しくシャントを作らざるを得ないこともあります。
瘤の中で血液の流れが不自然になることで、血のかたまり(血栓)ができやすくなったり、皮膚のトラブルから感染につながることもあります。
シャント瘤切除の目的は、破裂や出血のリスクを減らすこと、透析を安全に続けられるようにすること、そして腕の見た目や症状を改善することです。
細かな手技は医師が行いますので、ここではイメージだけお伝えします。
多くの場合、局所麻酔や腕の麻酔で行われ、全身麻酔を使わないことがほとんどです(施設によって異なります)。
手術時間はおおむね1〜2時間程度、入院は日帰り〜数日程度が目安ですが、具体的な期間は患者様の状態によって異なります。
シャントのどの部分が瘤になっているか、どのように血流が流れているかを、触診や超音波検査で詳しく確認します。
出血しやすさや感染リスク、心臓・肺の状態などを事前にチェックし、安全に手術が行えるかを確認します。
透析の前後のタイミングで手術を組む必要があるため、透析施設と連携しながらスケジュールを調整します。
手術を行った腕を今後も透析に使うかどうかは、瘤の場所や血管の状態によって変わります。別のシャントに切り替える場合や、一時的にカテーテルを使う場合もありますので、詳しくは医師と相談しながら決めていきます。
傷口の赤み、腫れ、熱っぽさ、強い痛みなどがないか、ご自身でも観察していただくことが大切です。気になる症状があれば、遠慮なくご相談ください。
シャントに負担がかかる状態が続くと、別の場所に再び瘤ができてしまうこともあります。針を刺す位置を分散する、血圧管理をしっかり行うなどで予防につながります。
麻酔をしっかり行ったうえで手術をしますので、手術中の痛みはできる限り抑えます。手術後に痛みが出る場合には、痛み止めを使いながら調整していきます。
血管・傷の状態によりますが、多くの場合、医師の判断のもと、数日以内に透析を再開できます。透析の方法(どのシャントを使うかなど)は事前に相談して決めていきます。
瘤が小さい場合や、血管や皮膚の状態が安定している場合には、経過観察のみでよいこともあります。ただし、破裂が心配なケースや症状が強い場合には、手術をおすすめすることがあります。
当院では、シャントトラブルを多く診てきた医師が、患者様一人ひとりの状態を丁寧に評価し、手術方法を検討します。
超音波検査(エコー)を用いて血管の太さや流れを詳しく確認し、安全性と再発予防を意識した手術を心がけています。
「今だけでなく、これからの透析生活をどう支えるか」を大切にし、透析施設とも連携しながら治療方針を決めていきます。
シャントの一部が大きくふくらんできた、皮膚が薄く破れそうで心配、腕や手のしびれ・冷えを感じる、見た目が気になってきた——こうしたお悩みがあれば、シャント瘤の可能性があります。早めにご相談いただくことで、破裂や透析トラブルを防ぐことが期待できます。
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